牧野 久美恵 (まきの くみえ)
国家資格 助産師 看護師
家庭教育 講師養成講座 修了(2005年)
ラクテーションコンサルタント (2009年認定)
桶谷式乳房管理士に認定 (2012年)
MFCA 認定プロフェッショナルコーチ(2021年)
公認心理師(2022年)
都内の総合病院で助産師として10年勤務ののち、
2012年 桶谷式乳房管理法研修センターにて一年間学び、桶谷式の認定を受ける。
高木助産院(下高井戸)、
R&Y母乳育児相談室(横浜)にて研鑽を積み、
2014年から桶谷式認定者として訪問開業に従事。同時に港区子育て支援事業に参加。栄養士、保健師とチームで港区の子育て相談を担い、行政の支援に携わる。
2017年までに訪問した家庭は1,000件以上。
産後直後から断乳に至るまで、また、夫婦関係、家族関係を含め、多岐に渡り母乳ケア・子育て相談のご依頼を受ける。
2022年より公認心理師として専門学校で毎週面談の実施。
現在は訪問ケアに加え、東久留米のアルテミスウイメンズホスピタルの桶谷式母乳外来担当。
オンラインカウンセリングも随時実施中。
20代の頃に私は、ヨルダンのダウンタウンの住民や難民の支援を行う病院で、助産師として仕事をしていました。その病院は、「赤ちゃんは生後12時間はベビー室に預かり、スタッフが液体ミルクを飲ませる」、「産んだ翌日には母子ともに退院」、そんな方針の病院でした。
「生まれてすぐ隣に赤ちゃんを置いて、欲しがる時に欲しがるだけ吸わせましょう。」これは母乳育児支援において、常套句です。
ですがそこの施設では、十分な支援ができているような印象はありませんでした。水回りの施設は日本とは大分違う環境でしたし、ミルクを購入するお金や、難民支援のミルク配給がなくてもやっていけるように、また、感染症の予防としても、母乳支援は必要なのでは・・・と考えていました。
私が「退院してから赤ちゃんは母乳でいけるの?」と、スタッフに聞くと、「I don’t know!」の返答。私の語彙力、認識不足もあり、地域保健はそこまで浸透してないのかな・・・と思うのみでした。
帰国後、その体験から、IBLCE(国際ラクテーションコンサルタント)になるため、国際的に根拠あることをもとにした母乳育児支援を学ぶことができるセミナーを受けました。
その研修では、母乳分泌のしくみやその根拠、授乳支援のやり方、WHOが提唱する母乳育児支援の10カ条など、論文をもとにした根拠ある支援・裏付けを学ぶことができ、とてもワクワクしました。
しかし、母乳育児の基本はそうであっても、うまく吸えない子や、それにあてはまらない母子も多く、
母乳育児の基本が通用しないことが現場では多く、色々な疑問にぶつかります。
そんな時期に参加したセミナーで、私は人生を大きく変えた先生に出会いました。そのセミナー講師は、圧倒的な臨床能力、経験値の高さ、納得のいく説明を持って、分かりやすく講義を展開して下さり、
私はすっかり魅了されてしまいました。「この講師さんの元で学びたい!どこの大学?どこの病院だろ?」と講師プロフィールをみると、その講師の所属先は、桶谷式乳房管理法研修センター教務。
私が学生の頃から母乳育児支援の専門家として桶谷式の名前は有名で、何よりお母さんたちの信頼が厚いことは知っていました。現場で色々と悩む中、日に日に学びたい意欲は強くなり、ついに私は2013年に桶谷式の門をたたきました。そこでの専門技術を学ぶ1年間は、寝る間もないほどの自己研鑽と実習、そして母乳育児に見識の深いたくさんの先輩助産師との出会いがありました。
その出会いと教えて頂いたことは、かけがえのない宝になっています。「おっぱいに吸いつけない赤ちゃんはいない」と言い切る先生の信念と手技や、乳房がふわふわのお餅みたいに柔らかくなる先輩助産師の手技に感動すら覚えました。一人一人の顔が違うように、乳房は一つ一つ違います。その行く過程は何通りもあり、支援の在り方によって本当に変わっていくことを痛感しました。
今、母乳育児支援者として活動をしていく中、私は次の言葉を指南としています。
「助産師が支援の引き出しを増やしていくのはいいけれど、その引き出しに母子を閉じ込めてしまわないように。」
この言葉は、私が桶谷式の門をたたくきっかけとなった、研修講師の言葉です。この言葉にあるように、私の中に支援の引き出しを増やしていくことはもちろんですが、それだけでなく、お母さんの望む形とその道筋を相談しあい、お母さんと赤ちゃんが納得いく形を選択していくことが大切だと感じています。
日々、母乳育児支援をしながら、今以上にお母さん方の想いを感じて、寄り添っていきたいと感じたこと、また、子供の心を育てるためには、お母さんと家族の心の安定、基盤を作っていくことが何より大切で、その支援がしたいと思い、カウンセリングやコーチングの技術の必要性を感じ、プロフェッショナルコーチ・公認心理師の認定を取得しました。
母乳育児をするかどうか、その方法を決める選択権は、お母さんと赤ちゃんにあります。そしてそれは、論文とエビデンスに基づいた西洋由来のIBLCEラクテーションだけでなく、東洋由来の人の体を扱うという桶谷式マッサージを融合させて考えていくこと、加えて、激動する現代社会のお母さん方の話にしっかり耳を傾けていく事が、最良の方法だと私は信じています。
桶谷式で出会った恩師の、常にスキルアップし、技術を極めていくその姿は、私の一生の目標となっています。